意外と知られていない”認知特性”とは?診断テストの受け方からメリットや活用方法まで紹介

メンタル・ヘルス

自分自身ととことん向き合う。たとえ自称でも”トレーダー”たるもの、避けては通れぬ道ですね!!
…ということで先日「ストレングスファインダー」について触れましたが、今回はもう少し身体寄りの観点から。感覚と認知が関わってくる”認知特性”についてです。

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”認知特性”とは、生まれながらに持っている情報処理パターンの傾向のことを指し、医学博士の本田真美医師が詳しい分類方法を定義しています。

認知特性とは

「ゾウ」と聞いて頭に何を思い浮かべる?

突然ですが「ゾウ」という単語を受け取った時、あなたは頭の中に何が思い浮かびますか?

…おそらく次の3パターンのうちいずれかに当てはまるのではないでしょうか。

①一般的なゾウのイメージ(映像や写真)が浮かぶ
②「ゾウ」もしくは「象」といった文字が頭の中にタイピングのように浮かぶ
③ゾウの鳴き声や「ゾ」「ウ」という音声が頭の中で流れる

これ、人によって違うんです。ちょっとびっくりしませんか?笑

この現象について”人はそれぞれ異なる認知特性を持つ”という考え方に基づき説明することができます。

私の場合、家族と話していてどうにも会話がかみ合わず、もしや思考パターンが違うのでは?と気づく瞬間があったことがきっかけで知りましたが、一般人の間ではあまり知られていないですよね。

認知特性とは、五感を通じて脳にインプットされる情報の認知・処理・表現(アウトプット)までの思考パターンの特性のことを指し、上記の場合、
①=視覚優位、②=言語優位、③=聴覚優位として分類されます。

① 「視覚優位」…情報を「見て記憶する」のが得意
② 「言語優位」…情報を「読んで記憶する」のが得意
③ 「聴覚優位」…情報を「聞いて記憶する」のが得意

認知特性は人によって、生まれながらにしてある程度決まっているといわれています。

認知特性≒感覚を通じて得た情報の処理方法の傾向

認知特性とは,目で見る,耳で聞くなどの五感を中心とした感覚器から入ってきた様々な情報を,脳の中で「整理」「記憶」「理解」する能力のことです。
同じ情報を見聞きしても,誰もが同じ方法で整理したり,記憶したり,理解したりしているとは限りません。人には,それぞれ認知の仕方に得意不得意があります。ただし,これらの認知特性は,バランスよく活用している人もいれば,得意不得意の差が大きい人もいます。

宮城県総合教育センターH30年度研究成果物(特別支援教育研究グループ)

「認知特性」自体は神経心理学などの分野ではよく使われる言葉のようです。

本田真美氏の定義では、「認知特性」を大きく3つ、更に細かく分けて全部で6つのタイプに分類しています。

視覚優位者①写真のように二次元で思考する”写真(カメラアイ)タイプ”
②空間や時間軸を使って考える”三次元映像タイプ”
言語優位者③文字や文章を映像化してから思考する”言語映像タイプ”
④文字や文章を図式化してから思考する”言語抽象タイプ”
聴覚優位者⑤文字や文章を音として情報処理する”聴覚言語タイプ”
⑥音色や音階など音楽的イメージを脳に入力する”聴覚&音タイプ”
参考:「認知特性テスト診断ツール」公式サイト

ただし、これはあくまでわかりやすくするための定義で、血液型や遺伝子のように「自分はこれ!」とぴったり当てはまる何かを持っているわけではありません。そのため重複していくつもの傾向を持ち合わせている人もいれば、ひとつの認知タイプが突出している人もいます。

また、この分類結果は他人と比較したり特性の良し悪しを計ったりするためのものではなく、あくまで各々の個性であるという考えに基づきます。

自分の認知特性を診断する方法

認知特性について、自分はどのタイプを持ち合わせているのか?
下記いずれかのパターンでテスト診断が可能です。
※今回紹介する方法はいずれも本田真美氏の分類方法をが元となる診断ツールです

  1. エクセル版「本田40式認知特性テスト診断ツール」をダウンロードする(無料)
  2. 医師のつくった「頭のよさ」テスト』を購入して記載のテストを受ける

出題される質問に解答して、各タイプのポイントを集計していく診断方法です。

今すぐ結果だけ知りたいという場合は①のエクセルが簡単ですが、より深く知りたい場合は書籍も併せて読み込んでみると面白いですよ。
但し書籍中のテストは計算が面倒なため、エクセルと組み合わせて使うことをお勧めします。

認知特性を知るメリットと実際の活用方法【具体例】

認知特性について理解するメリットと、診断結果の具体的な活用方法について考えてみます。

認知特性を知るメリット【2つ】

他人と比較しなくなる

一度くらいは誰しもが、”他の人はできているのに自分は何故…。”というような経験をしたことがあると思います。

しかし、”人は本当に皆それぞれ違うのだ”という事実を道筋立てて理解することができれば、あらゆる物事に対して随分と気楽に構えられるようになるのではないでしょうか。

「弱み」ではなく「強み」に着目して伸ばす

得意なことがある一方で、自分の特性と違う思考パターンを使う作業などについては苦手なことも出てきます。

しかし、苦手なことに対して、「弱み」と捉えて克服しなければならないという考え方自体が昨今では古くなりつつあります。

生まれ持った傾向や特徴を知ることで、”できないという事実”のみに固執することなく建設的な対処法へ視点を切り替えられますし、ある種ポジティブに諦めるという選択肢も持つことができるようになります。

逆に、「強み」には着目してとことん伸ばすようにしていきます。

子供を育てる場合などにもこういった考え方は非常に重要ではないでしょうか。

認知特性の具体的な活用例

個性に合った勉強方法の確立

代表的な活用例として、個性に合った勉強方法の模索が挙げられます。

認知が人によって異なるのであれば、当然勉強方法にも人それぞれ向き不向きが出てきます。
例えば英単語を勉強する場合ひとつをとっても以下のようなひと工夫が考えられます。

①視覚優位者…絵やイメージと結び付けて覚えてみる
②言語優位者…語呂合わせなどで暗記してみる
③聴覚優位者…CDなど音声を聞きながら覚えてみる

様々な成功談や勉強パターンが世に出回っていますが、
”この勉強方法は果たして自分や子どもに合っているのか?”という視点をワンクッション入れることで、各特性に合ったポジティブな学習方法を見つける手助けになるのではないでしょうか。

もちろん、勉強法以外にも活用できる場面は多々あることと思います。

”認知特性”についてもっと詳しく知りたい人向け【参考文献】

”認知特性”について興味が沸いた人は、ぜひ書籍で詳細を読んでみてください。
いずれも提唱者である本田真美氏の著書になります。

『医師のつくった「頭のよさ」テスト~認知特性から見た6つのパターン~』

「頭のよさ」というタイトルが残念というか少々引っ掛かりますが(あくまで個々の特性を”頭の良さ”として表現しているようですね)、新書に抵抗がなければ一番オススメの一冊です。
認知特性について最初に出版された書籍(2012年初版)で、認知特性の基本的な考え方や分類方法が詳しく書かれおり、巻頭に診断テストも付いています。

『得意がわかれば自分が伸びる40問テスト』

難しい本はちょっと…という場合はこちら。
認知特性について、誰でもわかりやすいようにかみ砕かれて解説されています。実際の40問テストも付いているため入門書として1冊手元に置いておきたい場合にはぴったりです。
ただ2021年現在、通販では中古版で手に入れるしかなさそうです。

『誰にでも才能はある。問題はその「原石」をどう見つけて磨くかだ』

『医師のつくった「頭のよさ」テスト』の発展版ともいえる1冊。
就活生やビジネスパーソン向けにアップデートされた本書の診断テストでは、能力が更に細かく19分類され、より実践に焦点を当てた内容になっています。
認知特性を知ったうえで、更に組み合わせの相乗効果や活用方法を知りたい人はこちらも読んでみると新しい発見が出てくるかもしれません。
なお、本書のみKindle Unlimitedの読み放題プランで閲覧が可能です。

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意外と知られていない”認知特性”とは?診断テストの受け方から活用方法まで紹介:まとめ

今回は各々の情報処理や思考パターンについて”認知特性”で違いを説明できるという内容でした。

紹介した分類方法はあくまで本田真美氏の独自定義に基づくもので、今後も議論されたりアップデートされたりする可能性はありそうですが、個々の特性を知り尊重する考え方が、神経心理学者の間だけでなく一般の人々にも広く知られるようになると良いですよね。

本記事に興味が沸いた人は、ストレングスファインダー等と組み合わせて考えてみるのも面白いかと思います↓

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